海外に目を向けると、既に自動運転機能を搭載した車を販売している国もあります。
といった疑問を持たれる方もいるでしょう。
しかし、あくまで一部の機能が「自動」になっただけで完全に自動で走る車は未だ存在しません。
この”一部”というワードが自動運転を理解する上では非常に重要になってきます。
まずは自動運転には5つのレベルが存在するという話から始めましょう。
5つのレベル
自動運転には、1~5までのレベルが存在します。
レベル1とレベル2は運転手が主で自動運転機能はあくまでサポート役です。
しかし、レベル3以上になると自動運転機能が主となって車の走行を行ってくれます。(いくつか条件がある場合も)
レベル1
レベル0はあくまでドライバーの補助行動を行います。
例えば
・前方の障害物を検知して止まる自動ブレーキ
・前の車に追随して走る、車線からはみ出さない
こういった単純なことをサポートしてくれます。
レベル2
先ほど、レベル1では前方の車に追随したり、車線からはみ出さないようサポートしてくれると説明しました。
レベル2は簡単に言えばレベル1の機能を組み合わせたものです。
「車線からはみ出さないように制御しつつ、前方の車に追随する 」といった少し高度な補助が可能となります。
レベル3
条件付きではあるものの、運転手の手を借りずに車が自動で運転してくれます。
ただし、緊急時はドライバーが対応しなくてはならないため、操縦席に座っていないといけません。
レベル4
路面状況などの条件をクリアした状況下であれば、ドライバーが関与する必要性がまったくありません。
レベル5
どんな条件下でもドライバーの手を借りることはありません。
自動運転車が当たり前のように走っている状況下ではレベル5が搭載された車が完成しているでしょう。
※今回の説明は国土交通省の資料を参考にしました
自動運転車対応指数2019
KPMGと呼ばれるスイスに本部を置く会計事務所が『自動運転車対応指数 』を発表しました。
この指標は
①Policy and legislation(政策と法整備)②Consumer acceptance(消費者受容度)
③Technology & innovation(技術とイノベーション)④Infrastructure(インフラ)
上記の4つの項目をそれぞれ評価し、総合ポイントを集計して自動運転に対応できている国をランキング形式で表しています。
日本は何位??
1位:オランダ
2位:シンガポール
3位:アメリカ
・・・
11位:日本
11位という数字を見れば特別悪く思いませんが、先進国の中では少し遅れているという見方も出来ますね。
日本は「技術とイノベーション 」が5位、「インフラ 」が3位と健闘しましたが、他の2項目がそれぞれ①15位②18位と低い評価を受けました。
つまり、交通インフラと自動運転技術は申し分ないが、消費者の興味と法整備が他国に比べて遅れているという事です。
現状の日本ではレベル2の開発が中心となっていますが、トヨタや日産は2020年にレベル3の開発に着手すると宣言しています。
世界はレベル4に向かっている
ドイツの大手自動車メーカーであるアウディは、2017年にレベル3を搭載した「Audi A8 」を販売しています。
それもそのはず、ドイツでは自動運転社会を想定したロードマップを発表しており、世界をリードする国の1つです。
まだレベル4を搭載した車は発表されていませんが、おそらく数年後にはどこかの国の自動車メーカーが名乗りを上げるでしょう。
議論を生む様々な問題
①責任問題
自動運転車が事故を起こした時、一体誰の責任になるのか?
この問題はおそらく何年後、何十年後も議論されていくでしょう。
欧州は自動車メーカーに責任があるとの見解を示しているのに対し、日本はドライバーに責任があるといった意見が多いというデータがあります。
これは、自動運転に対しての信頼が欧州では厚く、日本人は技術力をまだ信用しきれていないからだと考察されます。
今後、日本の自動車メーカーが技術力をアピールし、レベル4以上の機能を搭載した車を開発出来れば徐々に信頼を得る事が出来るのではないでしょうか。
②ハッキング
人が運転していれば何の心配もいらない問題ですが、自動運転はシステム制御を行って走行をサポートしています。
悪意のある誰かが自動運転車をハッキングしたとしましょう。
自動車が奇妙な動きを見せない限り、歩行者はハッキングをされた事実に気が付きません。
そして、主犯者があえて人が密集している所を目掛けて猛スピードで追突すればそれはもう痛ましい事件となってしまいます。
自動運転はそもそも、人が運転するよりも安心であることが大前提です。
日本はセキュリティ対策が世界に比べて見劣りしますので、急ピッチで対策を練って欲しいところですね。
トロッコ問題
この条件下で、、
この時たまたまA氏は線路の分岐器のすぐ側にいた。
A氏がトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。
しかしその別路線でもB氏が1人で作業しており、5人の代わりにB氏がトロッコに轢かれて確実に死ぬ。
A氏はトロッコを別路線に引き込むべきか?
AIはあくまで人間が組み込んだシステムに乗っ取って行動します。
自動運転で例えると、「前方に子供がいたとして、避ければ住宅に突っ込んで乗客が死ぬ恐れがある… 」
こういった時に人間はAIにどう判断させるべきかを事前に議論しなければいけないのです。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/トロッコ問題
まとめ
5Gの商用サービス化が本格的に始まっている今、自動運転の技術開発も格段にスピードアップしていくでしょう。
ただし、自動運転技術が進んだとしても、走らせるためには法整備や交通整備などの様々な障害を乗り越えなければいけません。
私は運転するのにそこまで苦労を感じませんが、車が無人で公道を走っている姿を想像するととてもワクワクします。
何年後になるか分かりませんが、気長に行く末を見守りましょう。
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