最近、ニュースや新聞で『リブラ 』という言葉を頻繁に見かけるようになりました。
リブラは皆さんが良く知っているビットコインと同じ仮想通貨の一種なのですが、仕様が少し違います。
Facebookが『リブラ』の開発を発表
Facebook社は2019年6月に〈暗号通貨・リブラ 〉の公式発表を行いました。
運用主体となるのはスイス・ジュネーブに本拠地を置く『リブラ協会 』と呼ばれる非営利組織です。
この協会には
などといった、名だたる企業がパートナーが参加を発表し、世界から注目を集めました。
※Paypalは執筆時点では参加の見送りを表明しています
冒頭でも言いましたが、リブラという暗号通貨はビットコインとは少し違った『ステーブルコイン 』と呼ばれる通貨の一種です。
以下で詳しく説明していきます。
ステーブルコインとは?
ビットコインやイーサリアムは法定通貨(ドルや円など)の裏付けがありません。
つまり、価格が乱高下しやすい(値動きが激しい)ため、投機目的に使われることが非常に多くなってしまいます。
ステーブルコインは法定通貨や短期国債を裏付けにし、その値動きに連動していくので比較的安定した仮想通貨と呼ばれています。
『ステーブル 』は安定するという意味を持ちますので、まさに名前通りの通貨と言えますね。
もう少し詳しく説明すると、リブラは『法定通貨バスケット制 』と呼ばれる方法を採用しています。
法定通貨バスケット制は、連動させる通貨を1つに絞らず、複数の通貨の平均値を連動させるという仕組みです。
ドル=50%
ユーロ=18%
円=14%
ポンド=11%
シンガポールドル=7%
世界で最も影響力のあるドルが半数というのは予想出来ましたが、中国の人民元が入っていないのは少し驚きました。
まあ、中国は為替操作の疑いをしょっちゅうかけられているので裏付けとして使うにはリスクが高すぎるのかもしれません。
ステーブルコインのメリット
銀行口座が要らない
先進国であればほとんどの人が銀行口座 を持っていますが、途上国では未だに口座を持っていない人が大勢います。
また、途上国の法定通貨は世界的にあまり信用を得られておらず、値動きが不安定という問題も抱えています。
リブラでの決済はスマホを持っている人であれば、LINEでメッセージを送るくらいの簡便さで送金が可能に。
低リスクかつ煩雑な手続きを必要としないリブラは途上国の人達にとっては革新的な技術と言えます。
手数料がかからない
銀行間の取引であれば、送金の際に一定の手数料が発生します。
しかし、暗号通貨は中央集権的な存在がいないため、手数料が限りなくゼロに抑えられます。
消費者側の立場からすれば手数料がかからないのはメリットでしかありませんよね。
営業日による制約がない
国内での資金の移動は1日もかからずに処理することが可能ですが、国外への送金であればそうはいきません。
例えば、日本からアメリカへ送金したい時、多大な事務処理が発生するため、営業日によっては3日程度かかる可能性もあります。
しかし、リブラは営業日による制約が無く、国際間の送金もスピーディに済ませる事が出来ます。
ステーブルコインのデメリット
マネーロンタリング
マネーロンタリングは日本語で『資金洗浄 』と言います。
犯罪行為で得た不正資金を口座から口座へと転々とさせる事で、資金の出所や流れを掴みづらくすることです。
暗号通貨は非常に匿名性が高いため、こういった不正行為に利用されることが非常に多くなります。
実際に、ビットコインやイーサリアムではマネーロンタリングが頻繁に行われていると言います。
各貨幣価値の減少
リブラを用いて決済する人が増えることで、必然的に法定通貨であるドルやユーロなどの利用が減ってしまいます。
すると、貨幣価値が下がり、何かを購入する際にいつも以上の資金が必要になってしまいます。
本来であれば、こういった場面では金融政策が威力を発揮するのですが、通貨の影響力が低下してしまうと金融政策の効力も下がってしまいます。
つまり、リブラを利用している人は恩恵を得られるが、利用していない人は損をしてしまう可能性があるという事です。
リブラ導入の道のりは険しい
個人情報流出事件
Facebook社はおせじにもプライバシー管理を徹底している企業とは言えません。
過去には8700万人もの個人情報を漏洩させたとして米連邦取引委員会(FTC)に制裁金50億ドルを支払うことを発表。
さらに、最近ではFacebookに登録した電話番号や名前(2億人以上)が誰でもアクセス可能な状態にあったとして世間を騒がせました。
お金の管理は特にセキュリティー面が重要になってきますので、脆弱性を露呈し続けているようでは導入は厳しいでしょう。
民間企業という不安
Facebookのユーザーは27億人にも上ると言われています。
仮にリブラが正式に導入されれば、数十億人が資産の移動を簡単に行うことが出来るようになります。
しかし、リブラ協会を束ねるFacebookはあくまで『民間企業 』。
現在の中央銀行を主体とした金融システムは各国の規制当局などから厳重な監視を受けることで成り立っています。
新興国の経済を活性化させるという便益は理解しつつも、やはりこういった煩雑な管理を民間企業に任せるのは心許ない気もします。
また、銀行などの存在意義が低下してしまうおそれがあるため、利権を手放したくない金融機関の反発も必至です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
正直、こういう類の話は専門用語を使わないと説明しにくいのですが、今回は出来る限り分かりやすい言葉で説明したつもりです。
ステーブルコインには様々なメリットがある反面、解決していかないといけない問題も多くある事が理解していただけたかと思います。
また、リブラの導入が見通せない中、中国がデジタル通貨を正式に発表しようとする動きも見せています。
日本もただ静観しているだけでは世界の波に必ず置いていかれますので、今後の政府の動きに注目したいところですね。
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